展示構成

 陸上の動物の歴史で最も大きな恐竜「竜脚類」は、なぜ大きくなれたのでしょうか。その謎が明らかになりつつあります。本展は、最新の研究成果を紹介して、竜脚類の生態と巨大化の謎に迫ります。


※一部、内容が変更される場合があります。ご了承ください。

第1章 地球には巨大生物がくらしていた

 本展のテーマである竜脚類の巨大化の謎にせまるために、まずは様々な時代における巨大生物を知ることから始めます。現在生きている最大級の動物はクジラで、最大の陸上動物はゾウです。「爬虫類の時代」である中生代には、陸上には恐竜、空には翼竜がいました。また、太古の時代から、海には様々な巨大生物が生きていました。パラリティタンやティラノサウルス、トリケラトプスといった恐竜の生体復元モデル、翼竜のアンハングエラや、海生爬虫類の全身復元骨格などとともに、これらの生物が生きていた時代を紹介する「地球巨大生物史」の年表を展示します。

恐竜生体モデル展示風景(ティラノサウルス頭部)

恐竜生体モデル展示風景
(ティラノサウルス頭部)

恐竜生体モデル展示風景(パラリティタン)

恐竜生体モデル展示風景
(パラリティタン)

アンハングエラ 全身復元骨格

アンハングエラ 全身復元骨格

タラソメドン 全身復元骨格

タラソメドン 全身復元骨格

カミツキマッコウ 全身復元骨格

カミツキマッコウ 全身復元骨格

ミクソプテルス

ミクソプテルス

パラプゾシア

パラプゾシア

第2章 地球史上、最も大きな陸上動物「竜脚類」

 地球の歴史における最大の陸上動物-、それは恐竜の仲間「竜脚類」です。恐竜は今から約2億3000万年前から6600万年前までの中生代に大繁栄しました。その中でも、長い首に小さな頭、大きな胴体と長い尾を持つ「竜脚類」は、最も巨大化に成功した恐竜でした。平均的な大きさの竜脚類の重さは10~30トン、巨大なものになると40~50トンにもなり、80トンに及ぶ超巨大竜脚類も存在しました。 北アメリカの中西部からは、ディプロドクスやブラキオサウルス、カマラサウルスなどの有名な竜脚類の化石が大量に発見されています。これらの発掘地の様子を再現したゾーンでは、産出した状態を復元した標本や実物化石を通して、実際の発掘現場についての知識を深めてもらいます。さらに、竜脚類がなぜこれほどまでに大きくなることができたのかという謎に迫るため、各ゾーンのテーマに沿って竜脚類がどのような生物であったのかを、当時の環境や生態とあわせて分かりやすく解説します。

カマラサウルス亜成体 産状骨格

カマラサウルス亜成体 産状骨格

カマラサウルス亜成体 実物骨格

カマラサウルス亜成体 実物骨格


<三畳紀「起源」>

 およそ2億3000万年前の後期三畳紀の地層(アルゼンチン)から発見された最古級の恐竜の1つであるエオラプトルは1メートルほどの大きさで二足歩行でした。一方、南アフリカのおよそ2億1500万年前の地層から発見された初期の竜脚類であるアンテトニトルスは、全長が10メートルを超え、二足から四足歩行へ移行していたと考えられています。竜脚類の巨大化には、歩行や姿勢の変化が関係したのでしょうか。このゾーンでは、エオラプトルやプラテオサウルスの生体復元の展示を通して、三畳紀に始まった竜脚類の起源について探ります。

エオラプトル 全身復元骨格

エオラプトル 全身復元骨格


<ジュラ紀「巨大化」>

 ジュラ紀に入ると竜脚類は巨大化し、多様化を果たします。北アメリカの竜脚類ディプロドクスやアパトサウルスは、ステゴサウルスらと共存しており、幼体の竜脚類は当時の捕食者であるアロサウルスに狙われていたことでしょう。このゾーンではジュラ紀後期の竜脚類の全身復元骨格や生体復元ロボットなどを展示します。また、竜脚類のものと考えられる本物の「糞」の化石に触れられるコーナーも設置します。

ディプロドクス 全身復元骨格/復元画

ディプロドクス 復元画/全身復元骨格

アロサウルス 全身復元骨格/復元画

アロサウルス 全身復元骨格/復元画

ステゴサウルス 復元画

ステゴサウルス 復元画/全身復元骨格

アパトサウルス ロボット(成体・亜成体)

アパトサウルス ロボット(成体・亜成体)


<白亜紀「放散」「多様化」>

 白亜紀に入ると、竜脚類はアジア、アフリカ、ヨーロッパ、南北アメリカなど南極を含む全ての大陸で繁栄するとともに、新たに様々な種類が出現します。このゾーンでは、背のトゲが特徴であるアルゼンチンの竜脚類アマルガサウルスや、日本で発見されたトバリュウ、タンバリュウの化石標本などを通して、白亜紀の様々な竜脚類を紹介します。

アマルガサウルス 全身復元骨格/復元画

アマルガサウルス 全身復元骨格/復元画

第3章 巨大化した獣脚類

 竜脚類ほど超巨大化しなかったものの、獣脚類の中にも巨大化の道をたどる種が現れます。その代表が、全長13メートルほどにもなる肉食恐竜ティラノサウルス・レックスです。本章では、ティラノサウルス類の進化を語る上で重要なグアンロンやライスロナクスに加え、ティラノサウルス・レックスの成長様式について知る上で重要な、幼体のティラノサウルス“ジェーン”など、ティラノサウルスの仲間たちを一堂に展示します。

ティラノサウルス “ジェーン”全身復元骨格

ティラノサウルス “ジェーン”全身復元骨格

ライスロナクス 全身復元骨格/復元画

ライスロナクス 全身復元骨格/復元画

ティラノサウルス 全身復元骨格/復元画

ティラノサウルス 全身復元骨格/復元画

第4章 新生代の巨大動物

コウガゾウ 全身復元骨格

コウガゾウ 全身復元骨格

 鳥類以外の恐竜が絶滅し、新生代に入ると様々な巨大哺乳類が出現します。しかし、最大の陸上哺乳類でさえ、竜脚類の大きさに比べるとはるかに小さいものでした。本ゾーンでは、巨大な絶滅ゾウであるコウガゾウやナマケモノ類のパラミロドンなどに加え、現生のゾウやキリンの全身復元骨格を展示します。

第5章 大きくなれなかった竜脚類

 体長が30メートルほどにもなる種が出現した竜脚類ですが、巨大化しなかった竜脚類も存在しました。ジュラ紀後期のドイツに生息したエウロパサウルスは、ブラキオサウルスなど巨大化した竜脚類の仲間と近縁な種であるにも関わらず、その体長は大人でも6メートルほどで世界最小の竜脚類の1つでした。なぜ、エウロパサウルスは巨大化できなかったのでしょうか?このゾーンでは、巨大化できなかった竜脚類の謎に迫ります。

エウロパサウルス 復元画

エウロパサウルス 復元画

エウロパサウルス 復元画

エウロパサウルス(幼体・成体) 全身復元骨格

第6章 巨大化の謎にせまる

 ジュラ紀後期のヨーロッパ最大の竜脚類であるトゥリアサウルスは、2003年にスペインで発見された全長30メートルを超える巨大恐竜で、竜脚類の進化に新しい知見をもたらした重要な標本です。本展の最大の見どころとして、半身の復元骨格を関西で初公開します。これまで紹介してきたように、竜脚類は巨大なもので体重80トン、全長が30メートル以上にもなる「超巨大化」に成功します。最新の研究によって、彼らがこれほどまでに大きくなることができた理由は、様々な要因が絡み合った結果だということがわかってきています。本章では、竜脚類の超巨大化を成し遂げた要因について迫ります。

トゥリアサウルス復元骨格(半身)

トゥリアサウルス復元骨格(半身)

トゥリアサウルス復元骨格(半身)

トゥリアサウルス 復元画